舌下免疫療法

スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法のひとつに、アレルゲン免疫療法があります。

まだこの治療法を行っている医療機関も多くはないのですが、これまでの対症療法より高い結果が確認されており、治療期間も長く、手間のかかる治療法ですが、なにより根本的治療である点が、対症療法とは異なります。

 毎年辛い思いをされている方、ぜひ根本的な治療にトライしてみませんか!?

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スギ舌下免疫療法のポイント

・スギ花粉症に対する効果の高い治療方法で、患者さんの満足度も非常に高いです
・スギ花粉を敢えて体に入れる治療であり、スギ花粉の飛んでいない6月(5月下旬頃)から12月にのみ開始できます
・治療期間は2〜3年、朝1回の内服と言われますが、数ヶ月の治療で十分な効果が出るケースが多いです
・毎月の受診が必要ですが、保険を使って治療を行うことができます。費用は2500−3000円/月になります。
(初診時は検査を行うため、3割負担の方で6000円~8000円ほどかかります)

 舌下免疫療法のメリット・デメリット

メリット

  • 舌下免疫療法はアレルギーの原因物質に対する免疫反応そのものを改善しますので、根治療法となる可能性があります。くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった鼻炎の症状だけではなく、眼の症状や皮膚のかゆみにも効果があります。治療を継続できれば、根治まで至る方も含めて、多くの方に効果を実感していただけるといわれています。
  • 完全に症状が消失しなくても、使用する薬の量を減らすことができたり、服用が必要な期間を短縮することができる可能性があります。
  • 舌下免疫療法を受けた方は、、免疫の過剰な反応が抑えられるため、治療を受けていない方に比べ、今後新たにアレルギー反応を生じる確率が低くなります。

くしゃみ、鼻水、鼻づまりの改善 涙目、目のかゆみの改善 アレルギー治療薬の減量 QOL(生活の質)の改善


デメリット

  • 1年を通して治療が必要なために定期的に通院しなければなりません。
  • スギ花粉エキスを使用するためにごくまれに全身症状が出る可能性があります。

対象となる方

  • 6~65歳で、スギ花粉またはダニアレルギーが原因となるアレルギー性鼻炎の方
  • 一般的な投薬治療で十分な効果が得られない方
  • 運転業務に従事している等で、抗アレルギー薬の副作用で眠気が出ると困るという方
  • 将来的に妊娠を希望している方(妊娠中には開始できません)
  • 鼻炎の薬を減らしたい方

使用方法の例

1日1回、治療薬を舌の下に置き、おくすりごとに定められた時間保持したあと、飲み込みます。その後5分間はうがい・飲食を控えます。

※スギ花粉症の場合、スギ花粉が飛んでいない時期も含め、毎日服用します。

投与するお薬の濃度が一定まで上がれば、月1回の通院で治療が可能(自宅での舌下投与は毎日必要)ですが、アレルギー反応を起こさない程度の体質になるまでは継続が必要とされています。

副作用について

ごく軽度の副作用も含めて、下記のような報告があります。

① 腹部症状(嘔吐、腹痛、下痢など)
② 口内、口唇のかゆみ・浮腫、感覚の異常
③ 蕁麻疹
④ 喘息発作
⑤ その他(耳のかゆみ、喉の炎症や違和感、くしゃみ、鼻みず、鼻詰まり、目のかゆみ、咳、喘息など)

  • 舌下免疫療法では副作用に伴う死亡例の報告はありません。
  • 薬(アレルギー原因物質のエキス)が直接触れる口腔内には軽症をふくめ、高い確率で副反応が出現しますが、その多くが自己管理可能で、治療を必要としません。
  • 副作用の多くは薬の増量期に起こることが多いです。
  • 治療の中断や投与量の変更を必要とするような高度の副作用は、大部分がぜんそく発作や消化器症状です。(初回の投与は必ず医院内で行い、副作用の観察のために投与後30分程度、経過観察をします)

しかし、スギ花粉やダニといった物質にアレルギーをお持ちの患者さんにそのエキスを投与することで治療を行いますので、当然のことながらアレルギー反応が起きる可能性があります。(とくに重篤な場合ではアナフィラキシーショックとよばれる救急搬送されるような強いアレルギー反応を生じる可能性があります。ハチ毒や食物アレルギーによる事例が有名です)

これまでの海外での実績では、舌下免疫療法にともなう重篤な副反応はきわめて稀であり、従来の注射による免疫治療よりもかなり安全とされます。(舌下免疫療法によるアナフィラキシーショックは投与100,000,000回に1回、副反応4000例のうち1例程度との報告があります。また、ショックに至るような事例は通常の服用例ではなく、過量服用や体調の悪い時が多いといわれています)

 舌下免疫療法 診断・治療の流れ

▶ 1回目(採血)

採血を行いスギやダニのアレルギー反応があるか確認します。結果は1週間後に出ます。

採血結果がある場合はご持参下さい


▶ 2回目(結果説明・お薬の服用テスト

1週間後結果を見て、適応となるようでしたら処方し、初回内服していただきます。

服用後30分間待合室でお待ちいただき、副作用確認後問題なければご帰宅となります。

※初回内服の日は最終受付時間より1時間程度余裕をもってお早めに受診下さい。


▶ 3回目

2回目から2週間後の受診

薬剤により通院間隔が異なります。はじめは薬剤の増量期間です。1日1回、少量から服用をはじめ、2週間は徐々に増量します。


▶ 4回目以降

1ヶ月後以降、安定していたら月1回間隔にて通院していただきます。